“駅伝男”としてチームに勝利をもたらす久保田
喜びと悔しさ
創部97年目にして悲願の初優勝を成し遂げ、歴史に名を刻んだ青学大。三代目・山の神を襲名した神野が5区を颯爽と駆け上がると、大手町まで一気に駆け抜け、箱根路を大きく沸かせた。今年度のスローガンは『その一瞬を楽しめ~最強への徹底~』。神野主将を中心に『学生駅伝三冠』を目指し、走り出した。秋が訪れ、駅伝シーズンが幕明け。青学大は盤石の布陣で挑んだ。
初戦の出雲では、駒大に先行される展開となるも久保田の猛追によって、レースを一気に青学大へ引き寄せる。続く下田、山村が力走し、アンカーの一色が駒大に勝ち切ってフィニッシュ。3年ぶり2度目の優勝を果たし、三冠への第一歩を踏み出した。
続く全日本では、神野主将が2度の故障からようやく復帰した。三冠に向けて初優勝を目指したが、東洋大に及ばず敗戦。悔しくも4年生の入学時からの目標であった『三冠』はここで消える結果に。「箱根連覇という目標は絶対に達成したい」と神野主将はリベンジを誓った。
最後は笑顔で
今年度の青学大は、ユニバーシアードで金メダルに輝いた小椋、一色を筆頭に個の力の高さを見せつけてきた。エース格の選手はもちろんのこと、箱根優勝メンバーから漏れた選手の活躍が熱い。
関東インカレのハーフマラソンでは、池田が独走していた外国人選手をラストでかわして優勝。中村は日本学生個人選手権と世田谷246ハーフマラソンを制した。下田は出雲で大学駅伝デビューを飾ると、全日本では東洋大とデッドヒートを繰り広げて区間賞を獲得。着実に力をつけ、頼れる存在へと成長を遂げた。
神野主将の状態に不安が残るが、橋本が夏から山上りの準備をしており「4年間で一番よい練習が積めている」と自信を窺わせる。さらに11月の10000m記録挑戦競技会では8選手が28分台をたたき出し、最高峰の戦いへ向けて万全の状態だ。
「最後は優勝で飾って笑顔で終わりたい」(久保田)。喜びも悔しさも経験した青学大は、王者としてのプライドを胸に箱根路を駆け抜ける。
VOICE 原晋監督
「昨年度はワクワク大作戦と称して戦ったわけですけれども、追われる身になって初めて重圧を大きく経験しております。ただこの経験を跳ね返して初めて、チームとしてさらに成長できるのではないかと思います。全日本が終わり、チームは少し沈んだ時期もありました。本来私の方針ではない減点方式で指導をしていたことに深く気付かされ、チームをどう明るくしていくか考えた結果として『ハッピー大作戦』をモットーに掲げさせてもらいました。チームは本来の明るさを取り戻し、いま現在のチームのハッピー指数は85%くらいまで上がっていると思います(笑)。これを試合でさらに向上させ、さらには多くの関係者の皆さまにも幸せになっていただけるよう、大会当日に向けて我々は努力していきたいと思います」
TEXT=原しおり(青山スポーツ)
8年連続出場、21回目
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