優勝を導く走りに期待がかかる服部弾馬
王座奪還へ
連覇を掲げて挑んだ前回大会は、酒井俊幸監督就任から最低順位の3位。必ず頂点へ戻ることを誓い、再スタートを切った鉄紺集団に勝負の駅伝シーズンが到来した。初戦、出雲では1区の出遅れが響き4位に終わる。しかし、中間層の選手が実戦で力を十分に発揮し、チーム内でも「次だ」と勝利への意欲を高めてきた。そして迎えた全日本ではまさに1秒を削りだす走りで悲願の初優勝。出雲、全日本を経て着実に駅伝力を上げている。
また、チームの柱である服部兄弟の走力にはさらなる磨きがかかった。ホクレンDCでは、兄の勇馬は5000m、弟の弾馬は1500mで東洋大新記録を樹立。全日本では兄弟でタスキリレーし、区間賞を獲得した。特に今季の弾馬は兄をもしのぐ勢いだ。全日本インカレ5000mでは外国人選手を抑え優勝。学生長距離界のエースへと成長を遂げた。その服部兄弟がそろっての駅伝は今大会で最後となる。二人の走りが最大の武器になるに違いない。
新戦力台頭
服部兄弟に並ぶ主力選手の育成として、中間層の強化に取り組んできた。春の記録会では多くの選手がベスト記録を更新。関東インカレ・ハーフマラソンでは高橋が3位に輝いた。口町は駅伝シーズンに入り一気に開花。全日本ではMVPにも選ばれ、今やチームに欠かせない戦力となった。また、昨年故障に苦しんでいた堀が復帰し、全日本では区間賞で後者を突き放した。さらに、春から好調のルーキー・小笹、山本修もエントリーされ、箱根での駅伝デビューも濃厚だ。タイムだけでは見えない厚い選手層が持ち味になっていく。東洋大の全日本優勝は、青学大、駒大を奮起させることとなっただろう。しかし、鉄紺集団に油断はない。勝利への準備は整った。王座奪還への執念を持ち、激戦の箱根路を駆け抜ける。
VOICE 酒井監督
「もう一度チームの屋台骨を作っていこうといろんな観点からの変革をしてきた。主力の服部が生きるチームを作らなければならないので、「脱・服部」宣言をして取り組んできた。他の選手が服部と同じ区間をできる程に成長しなければ青学には勝てない。箱根に向けては王座奪還への執着心、執念をしっかり持って取り組んでいくことが大事である。個の力だけではない強みが駅伝のおもしろさであり難しさなので、チームの優勝のためには駅伝力が走力よりも勝っていかないといけない。緩んだり、おごりや油断が出てしまうと駅伝力は半減してしまう。ごらず足元を見てしっかりやるべきことをやる東洋の本来のスタイルに駅伝力が合致すると思う。全日本同様、スローガンを体現するような走りで、王座奪還を目指していきたい」
TEXT=畑中祥江(スポーツ東洋)
14年連続74回目
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